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アビジャン便り

2016年08月28日
寄稿者:亀井伸孝

みなさんぼんじゅーる。国際関係学科教員のかめいです。
私はいま、西アフリカのコートジボワール共和国のアビジャンに滞在しています。

学生ブログ委員のみなさんから「アフリカ現地調査の日常の風景を」というご依頼をいただいて、こちらの暮らしを写真入りで紹介します。

■大都会アビジャン

みなさん、アフリカのイメージというと何ですか。
「野生の王国」?「砂漠」?それとも?

アビジャン。それは、何と言っても「大都会」です。こんな街です。

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人口約500万人。フランス語圏の中では、人口1位のキンシャサ(コンゴ民主共和国)、2位のパリ(フランス)に続く、世界第3位の巨大都市です。

街の中は、ビルと車の渋滞。

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近々、地下鉄の建設が計画されているとか。
都市化が進むアフリカを象徴する街。それが、ここアビジャンです。

■手話辞典編集のための研修会

ここで、私はいま何をしているかというと。ここのろう者たちと、西アフリカ初の動画手話辞典を作ろう!というプロジェクトがあって、ろう者の研究チームと一緒にその準備をコツコツと進めているのです。
(ちなみに、中部アフリカ初の動画手話辞典は、すでに2008年にカメルーンで完成させました)

たとえば、こんな感じで、ここのろう者のみなさんと一緒に、少人数で集中講義みたいな研修会をします。

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ここで話されている「フランス語圏アフリカ手話(LSAF)」という手話をみんなで撮影したので、これを編集しようということで、動画編集ソフトの使い方の勉強会を開いたのですね。

実際にパソコンを使って、動画の編集を進めます。ちなみに、いま操作しているのは、ろう者の女性です(大学院生)。

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■いくつもの訪問

この街にムスリムろう者協会ができたというので、訪問してきました。

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アビジャンはおおむねキリスト教文化圏に属し、ろう者たちが集うキリスト教会がたくさんあります。一方、国内外から多くの移住者を受け入れていて、ろう者たちのなかにも宗教的多様性があります。

訪問した日は、ちょうど女性のための識字教室が開かれていました。就学経験のないムスリマたちが、フランス語の勉強をしています。

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そのほか、政府・教育省の学校教育局長を訪ねて、研究成果の活用について懇談したり(右端が局長)。

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ろう者女性協会の大会に、ゲストでおじゃましたりしました。

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辞書を作る一方で、さまざまな活動を直接訪れながら、アフリカの文化・社会の多様性を学び、記録していく。
文化人類学者として、こんな仕事をしています。

■まあまあの水準のホテル

泊まっているのは、この街では中の上くらいの水準のホテルかな。

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居室にパソコンとプリンタを持ち込んで、調べもの。そして、次の研修や講演のための資料を作って印刷。なんか、大学の研究室にいるのとあんまり変わらない一面もあります。

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どうせ、こういう研修も講演も、フランス語またはフランス語圏アフリカ手話でするのですから。
テレビではコートジボワールとフランスのニュース番組がエンドレスに流れるので、付けっぱなしにしておいて、フランス語を浴びるように聞き、読み、なるべく日本語を頭から消し去る暮らしをしています。

■すてきなご飯の数かず

以下、ご飯のことを書きます。

魚の煮付け、オベルジン(ナス)のソースとともに。ご飯。
ぬるぬるとろとろの溶けたナスが、のどをやさしく通ります。

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エスカルゴ(かたつむり)、ヤシアブラのソースとともに。ご飯。
ヤシアブラのねっとりとした粘度と濃厚な香りが、食欲をそそります。

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パンタッド(ホロホロチョウ)のケジェヌソース、アティエケ。
ケジェヌは、トマトとタマネギをベースとして煮込んだ唐辛子ピリ辛のソースです。
アティエケは、キャッサバのつぶつぶパスタ。
この酸っぱい発酵臭のある主食に出会うと、ああアビジャンに帰ってきたな、と思います。

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アグティの肉、グワグワスのソース、主食はフトゥ・バナン。
アグティとは、何でしょうかね。ネズミに近い、やや大型の野生哺乳類です。
グワグワスは、オクラたっぷりのねばねばピリ辛ソース。
フトゥ・バナンは、バナナとキャッサバを臼でついたお餅です。

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そして、チェブジェン。
魚のトッピング付きの、トマトテイスト炊き込みご飯です。
これはセネガル由来の料理で、西アフリカに広く伝播しました。

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ふう。ごちそうさま。
ここの街では、「ご飯などの主食+ソース」「炊き込みご飯」などのパターンが多いです。
カレーライスや牛丼など、「ご飯+汁」になじみのある私たちにとって、ここの食べ物に適応するのは早いでしょう。

■「どうやったら、アフリカに行けますか?」

「どうやったら、アフリカに行けますか?」
こんな質問を、学生のみなさんから受けることがあります。
簡単です。飛行機のチケットを買えば、アフリカに行けます。

この記事で紹介したように。
「アフリカに行く」ということは、何かとてつもなく異次元の世界に行くとかいう感じではなくて、ありふれた日常の延長に過ぎないというのが、わたしの正直な印象です。
治安と健康に少し注意が要りますが、コツさえつかめばさほど困難ではありません。

いま、大学で世界のことを学んでいるみなさん。
そして、これから世界を学ぼうと思っている中高生のみなさん。
ぜひ、「等身大のアフリカでの暮らし」に出会ってほしいなあ。
というのが、アフリカにお世話になってきたいち教員の願いです。

国際関係学科には、これまでもアフリカに留学した学生たちが何人もいます。
セネガルに留学して映画を作り、卒業論文を完成させた学生。
カメルーンの熱帯雨林の農村で、農業経験をしてきた学生。
南アフリカやナミビアを訪ね、すばらしい写真を撮ってきた学生もいます。

いずれは、愛知県立大学も、ここコートジボワールの大学などと協定校になれないかな。
学生たちが、格安でフランス語を学べる機会を作れないかな。
そんなことを楽しく想像しながら、調査を続けています。

雨季の涼やかな、名古屋ほど暑くないアビジャンより、お届けしました。

ムスリムのろう児たちとともに

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(本記事の写真は、いずれも2016年8月、コートジボワール共和国アビジャンにて、亀井伸孝撮影)

【関連リンク】
過去のアフリカ滞在日記も、よかったらごらんください。

セネガル紀行(セネガル、2013年9月11日)
http://kendaikokusai2012.blog.fc2.com/blog-entry-80.html?sp

「エボラとデング熱」の夏休みに思う(ブルキナファソ、2014年9月10日)
http://kendaikokusai2012.blog.fc2.com/blog-entry-145.html?sp

編集者:小島光葵

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